ネットワークとWebの仕組み
世界中のコンピュータをつなぐインターネット。 Webページが表示される仕組みや、クラウドサービスの利便性を理解しましょう。
インターネットの仕組み
インターネットは、世界中のネットワーク同士がつながった巨大な網(Web)です。 情報のやり取りにはIPアドレス(住所)が使われます。
URLとドメイン
IPアドレスは「192.168.1.1」のような数字の羅列で覚えにくいため、 人間が読みやすいドメイン名(例: google.com)が使われます。 これをIPアドレスに変換する仕組みをDNSと呼びます。
情報はパケットと呼ばれる小さなデータ単位に分割され、最適な経路を選んで送られます。経路選択を行うのがルーターであり、世界中のルーターが経路情報(ルーティングテーブル)を交換することで、障害が起きても別の道を通って通信を継続できます。
キーワードのおさらい
- LAN / WAN:建物内のローカルネットワークと、拠点間を結ぶ広域ネットワーク。
- ISP:Internet Service Provider。自宅やオフィスをインターネットに接続する業者。
- VPN:仮想専用線。インターネット上に暗号化された専用トンネルを構築し、安全に拠点をつなぐ。
ネットワークを分解して考える(OSI参照モデル)
ネットワークトラブルの多くは「どの層で問題が起きているか」を特定することで解決します。代表的な考え方がOSI参照モデル(7階層)です。
- 第1層 物理層:ケーブルや電波といった物理的な伝送部分。
- 第2層 データリンク層:同一ネットワーク内での通信制御(MACアドレス、スイッチ)。
- 第3層 ネットワーク層:異なるネットワーク間の転送(IPアドレス、ルーター)。
- 第4層 トランスポート層:通信の信頼性を担保(TCP/UDP)。
- 第5〜7層:セッション/プレゼンテーション/アプリケーション層。HTTPやSMTPなどアプリが使うプロトコルが該当。
実務では、OSIモデルを下から順に確認していくと切り分けがしやすくなります。LANケーブル抜け → IP設定 → アプリ設定の順でチェックするイメージです。
Webブラウザとサーバー
私たちがWebページを見るとき、以下のやり取りが行われています。
- クライアント(ブラウザ): 「このページを見せてください」とリクエストを送る。
- サーバー: リクエストを受け取り、HTMLファイルや画像を返す(レスポンス)。
- クライアント: 受け取ったデータを解釈して画面に表示する(レンダリング)。
Webの通信には主にHTTP / HTTPSが使われます。HTTPSは通信内容を暗号化することで、盗聴や改ざんを防ぎます。ブラウザが表示を高速化するためにキャッシュ(保存されたデータ)を活用することも覚えておきましょう。
開発・運用で押さえるべきHTTPのポイント
- ステータスコード:200(成功)、404(未検出)、500(サーバーエラー)など。
- メソッド:GET(取得)、POST(送信)、PUT(更新)、DELETE(削除)。
- ヘッダー:キャッシュ制御、コンテンツタイプ、認証トークン等の付加情報。
ネットワーク機器の役割
オフィスやデータセンターには多様なネットワーク機器が設置されています。それぞれの役割を理解すると、構成図を読んだり保守ベンダーと会話する際に役立ちます。
- スイッチ:同一ネットワーク内の機器同士を接続。VLAN構成でセグメントを分割できる。
- ルーター:異なるネットワークをつなぎ、最適な経路へパケットを転送。
- ファイアウォール:許可された通信のみ通す門番。社内ネットワークの安全を守る。
- ロードバランサー:アクセスを複数サーバーに振り分け、可用性を高める。
- アクセスポイント:Wi-Fiを提供。電波干渉を避けるチャネル設計が重要。
クラウドサービス(SaaS)
自分のPCにソフトをインストールするのではなく、インターネット経由で利用するサービスをクラウドサービスと呼びます。 特にソフトウェアを提供する形態をSaaS (Software as a Service)と言います。
💡 SaaSの例
- Google Workspace: Gmail, Drive, Docsなど
- Slack / Teams: チャットツール
- Salesforce: 顧客管理システム
メリットは、場所を選ばず使えること、常に最新版が使えること、データ共有が容易なことです。
クラウドにはSaaSのほか、仮想サーバーを提供するIaaS、開発基盤を提供するPaaSがあります。社内システムをクラウドに移行する際は、ネットワーク経路の冗長化、ID管理、ログ保管方針などを事前に検討しましょう。
運用とトラブル対応
ネットワーク運用では、障害の早期検知と原因究明が求められます。基本のプロセスを押さえましょう。
- 監視:PingやSNMP、クラウドのモニタリングサービスで機器と帯域を常時チェック。
- ログ確認:ファイアウォール・サーバーログからエラーや断続的な切断を特定。
- 切り分け:LAN、インターネット、アプリケーションどの層で異常が発生しているか分析。
- 再発防止:設定変更の履歴管理、冗長構成やキャパシティプランニングを見直す。
ネットワーク図を整備しよう
物理構成・論理構成・IPアドレス一覧を最新化しておくと、障害対応やベンダー協力依頼がスムーズになります。変更管理プロセスの中で図面の更新を必ず行いましょう。